徹底的に「プロセス」を大事にする禅の教え
・競争社会を生きている現実を変えることは誰にもできません。
しかし、その現実をどう受け止めるか、人生の価値観をどこに置くかを変えることは誰にでもできるのです。
・禅では「結果」を重んじません。目を向けるべきは「プロセス」です。
「結果」だけに目を向けている限り、競争原理の苦しみから抜け出すことはできません。
・競争相手を「他人」から「自分」にシフトしていくのが、禅的な「競争からちょっと離れるためのコツ」です。
・禅に「結果自然成(けっかじねんなる)」という言葉があります。結果がでないのは、努力が足りないわけではありません。
努力をしてもいい結果が出ないときもあります。
結果というのは「自然に」出てくるものであって、コントロールできるものではない。
「白黒つけない」という賢い生き方
・仏教の教えの根幹にあるのが「中道」という考え方です。
・「曖昧さ」というのは、じつは賢く生きる知恵なのです。
・禅に「両忘(りょうぼう)」という言葉があります。
これは「自分の言っていることが正しい」「あの人の言っていることは間違っている」と二者択一でものごとを捉えるのをやめなさい、という意味。
自分とは違うが、相手も受け入れていこう、というのが多様性を認める、ということです。
「オンリーワン」には競争は要らない
・競争にさらされるのは、みんなと同じ土俵に上がろうとするからです。
・禅に「工夫弁道」という言葉があります。
禅では日常の食事や掃除など一切の所作にも工夫がなされていなければなりません。
・「日々、工夫をすること」は「毎日をていねいに生きること」です。
・たくさんの工夫をして、「自分だけの土俵」を見つけて下さい。
評価を「少しばかり」上げることに右往左往しない
・どのくらいの人間か、どの程度の能力か、というときには、誰かと比べて上か下か、という「ものさし」が必ず持ち込まれています。
つまり、評価はいつも「相対的なもの」なのです。
・評価というのは、所詮、他人が勝手にする「レッテル貼り」です。
・禅に「善悪難定(ぜんあくさだめがたし)」という言葉があります。
これは、なにがいいとか、何が悪いとかは簡単に決められることではない、ということです。
・正しい「ものさし」は充実感、納得感です。
たとえ、周りからの評価としては成果が上がっていなくても、自分がその仕事に懸命に打ち込めたということなら、おおいに自分を評価してよし、なのです。
「こうあるべきだ」が、余計な苦しみを生む
・理想はあってもよし。ただし、それに「執着」してはいけません。
・禅に「無縄自縛」という言葉があります。
これは、ありもしない縄(こだわり)で自分を縛りつけてはいけない、という意味です。
・「うを(魚)水をゆくに、ゆけども水のきは(際)なし。
「いま」自分ができることに全力を傾ける。
明るく元気に「いま」を生きる。その結果は自然のまま、流れるまま。
そこには競争はありません。
勝っても勝っても必ず「上には上がいる」
・勝ちにおごると自分の立ち位置がわからなくなるのです。
世の中は広いものだ、という意識を持たなければなりません。
・禅語に「増上慢」というものがあります。
人より自分は優秀だ、有能だ、と、傲り高ぶり、謙虚な気持ちを失うことを戒める言葉です。
・勝ったときこそ謙虚でいる。これは、この競争社会を賢く、したたかに生き残る知恵でもあるのです。
「小さな勝ち」への執着が「大きな負け」を呼ぶ
・全ての仕事の成果は、人の協力、サポートの上に成り立っています。
・「多くの人に支えられて自分は仕事をしているのだ」、という「真理」をいつも心に留めておくことが大切です。
・感謝の気持ちを伝えられる人ー「おかげさま」と言える人には、周囲の強力やサポートが集ってきます。
まとめ
「結果がすべて」。特にビジネスの世界ではよく言われている言葉です。
でも、本当に結果がすべてなのでしょうか。
結果を出すためにはどんな手段を使ってもいいのでしょうか。
僕は違うと思います。
しかるべきプロセスを踏まない結果はすぐに毀れるのではないでしょうか。
「こうあるべきだ」という結果のみに執着する考え方は自分自身を苦しめる。
他者がつくり出す競争の世界に巻き込まれていくからだ。
ではどうすればいいのか。
自分自身のものさしを持ち、ゆるがない価値観を見出すこと。
そして、その価値観にもとづき瞬間瞬間の努力を怠らず充実させることが大切なのではないでしょうか。
そうすれば、自然と結果はついてくるのだと禅は教えてくれます。