お金になりにくい「価値」の存在
・既存の資本主義に多くの人が感じていたことは、「お金にはならないけど価値のあるものって存在するよね?」という点だと思います。
・資本主義が考える価値あるものと、世の中の人の考える価値あるものの間に大きな溝ができており、それが多くの人が違和感を持つ原因です。
・お金が価値を媒介する唯一の手段であったという「独占」が終わりつつあるということです。価値を保存・交換・測定する手段は私たちがいつも使っているお金である必要はなくなっています。
・ネットの普及で自分の価値をどんな方法で保存しておくか選べるようになってきています。
資本主義から「価値主義」へ
・今後は可視化された「資本」ではなく、お金などの資本に変換される前の「価値」を中心とした世界に変わっていくことが予測できます。
・経済的には人間の欲望を満たす実世界での実用性(使用価値・利用価値)をさす場合や、倫理的・精神的な観点から真・善・美・愛など人間社会の存続にプラスになるような概念をさす場合もあります。
・あらゆる価値を最大化しておけば、その価値をいつでもお金に変換することができますし、お金以外にものと交換することもできるようになります。お金は価値を資本主義経済の中で使える形に変換したものに過ぎず、価値を媒介する一つの選択肢にすぎません。
「評価経済」の落とし穴
・いわゆる資本主義経済でお金からお金を増やした金融業と同じで、評価から評価を拡散力をテコに生み出していくことが可能になります。そして、この活動から蓄積された影響力や認知や評価といった価値は、まるでお金のように色々なものと交換することと可能です。
・なぜ多くの人が評価経済や信用経済に対して違和感を抱くのかというと、今話題になっている大半の仕組みが「評価」や「信用」ではなく、「注目」や「関心」にすぎないということがまず挙げられます。
・評価経済や信用経済も、注目や関心を集めるために、共感や行為を犠牲にしたり、倫理観や治安を犠牲にするような行為が目立つようになると、資本主義と同様に世の中がブレーキをかけることになります。
「経済」は選べばいい
・本当に言いたいのは「複数の経済システムは並存し得る」という点です。
・ネットが十分に普及した世界では、「どれが一番正しいのか?」という考え方ではなく「どれも正しい、人によって正解は違う」という考え方が徐々に受け入れられてもいい。
・経済圏も複数に分散していて、その中に存在するサービスも管理者不在で機能する分散したネットワーク上で完結するというこの状態を「二重の分散」と表現しています。
・複数の経済圏が並行して存在すれば、既存のメインストリームの経済から外れてしまった人に対しても膨大な選択肢を与えることになり、選択肢があることによって多くの人がリスクをとって積極的に活動できるようになります。
「価値主義」とは経済の民主化である
・一つ目はお金や経済の民主化です。これまで300年近く国家の専売特許とされてきた通貨の発行や経済圏の形成が、新たなテクノロジーの誕生によって誰でも簡単に低コストで実現できるようになります。
・二つ目は資本にならない価値で回る経済の実現です。
・価値主義では新たなテクノロジーの誕生によって、内面的な価値や社会的な価値をも可視化して、それらも経済として成り立たせることで、資本主義の欠点を補完できるようになっています。
・過去の常識が新しい価値観に上書きされていき、新しい価値観が常識になったかと思うと、すぐに新しい価値観による上書きが始まります。
まとめ
お金について真剣に考えなければならない時期に来ているのだと思います。
もちろん既存のお金についてもそうなんですが、これからのお金についてです。ボクらが育ってきた時代のお金に対する価値観は一気に塗り替えられる可能性があるということです。
国がお金を管理するようになって約300年、今のお金の仕組みになって約100年。このインターネットが本格的に普及してからのこの20年の社会の動きをみればわかるように目まぐるしくテクノロジーが進化している中でお金の概念も変化して然るべきものなのだと思います。
資本主義が突然なくなるということはないとは思いますが、国が一元管理するのではなく、地域社会やコミュニティがそれぞれにトークンを発行して経済圏をつくる動きが出てきていたり、タイムバンクやVALUといった個人が価値を作り出せるサービスも現れお金の概念も少なからず変わってきていると実感できます。
老後のためにお金は貯めておくものというのはボクらより上の世代の人たちの常識だったわけですが、10年後・20年後にはもしかしたらそのお金は全く別の価値に置き換わっているかもしれません。
そういうリスクもしっかりと把握した上で、情報に敏感になりながらこれからのお金2.0時代を迎えていくことが大切なんじゃないかなって思います。