求められる発想の転換-未来の働き方を考えよう


お金に関する発想の転換

・動けない人と本当に踏み切ってしまう人の違いは、経済力格差でも能力差でもなく、これまで働いてきた環境の違いからくる不安感の差が大きい。

・保守的な業界の安定企業に勤める、年収が高く貯金のある人ほど、解雇や失業、転職を怖がっている。彼らが組織を離れることが怖いのは、経済力がないからでなく、周りにそういう人が少ないからだろう。

・収入が高くても、それに合わせて支出が高水準になってしまえば、結局のところ一生働かなくてはならないのは、高所得者も同じなのである。

・全ての大きな出費は「この買い物をしなければ、自分は何年分、早く引退できるか」という年月に換算できる。

・どうでもいいこと、周りがやっているからうちもそうする、みたいなことに多額のお金を使うくらいなら、その分は、人生再設計のための原資にすればいい。

・人生再設計が可能になるかどうかは、収入ではなく支出のマネジメントにかかっているのである。

・「十分な(=死ぬまで食べていける)お金が貯まるまで働こう」と考えるのではなく、「元気な限りそこそこ稼げる態勢を、一定年齢(40代)をめどに整えよう」と考えるほうがよほど現実的であり、それが40代で働き方を再設計するという考え方なのである。

 

寿命に関する発想の転換

・本来長生きできるのは幸せなこと。なのに今の日本では、多くの人が長生きすることを不安に感じている

・尋常じゃないレベルの働き方をしている人、自分のやりたいことに迷いのない人、徹底的にしがらみのない人には、人生の有限感を意識している人が多い。逆説的な言い方だが、彼らはくだらない不安を持たない。

・人生が有限だと宣告された時に生き方が変わるのだとしたら、それまでの人生は、自分が本当に望んでいる生き方ではなかったということである。

・長生きリスクに対して経済的に完璧に備えるのは不可能。そんな中、自分が心から楽しいと思える生活を封印し、できるだけ節約して貯金しながら、今の仕事と生活をあと20年も続けるのが、本当に唯一の、もしくはベストの選択肢なのでしょうか?

・やりたいことを後回しにしないこと、自分にとって本当に大事だと思えることを優先することは、経済的な備えを少しばかり積み増すことよりも、よほど重要なことである。

・誰かの人生ではなく、自分の人生を生きること。周りにどうみられるかではなく、自分が心から楽しいと思える人生を送ること。それが何より大切なこと。

・前半人生は、一般的な出来事がもれなく組み込まれた「パッケージライフ」。でも、後半になったら、それをだらだら続けるのでなく、できるだけ早く自分自身のオリジナルライフを設計し、そちらに移行する。後半戦は確実に「有限な人生」なのだから。

 

 

まとめ

お金に関する考え方、寿命に関する考え方に対する発想の転換が求められている。人生100年時代、色々な変化が予想される時代では今までの「常識」がもはや通用しない。というよりも「常識」どおりに生きていれば、それを極めている人でなければ、幸せな人生だったと振り返ることができないだろうと言われています。

 

お金に関しては収入に合わせた支出をするのでなく、支出のマネジメント力を高めること。それは物質的な豊かさを追求するのではなく、自分の今後の人生設計に投資することを意味すると思います。

寿命に関しては、老後への過度の不安感を持たないこと。今しかできないやりたいことに意識を集中して、自分が心から望んでいる人生を選択すること。

 

いずれにしても、他者の目を意識しすぎない。他人の人生でなく、自分の人生を生きる。後半人生は主体的に人生設計を楽しみながら自分自身のオリジナルライフに移行するのが理想ですね。

 

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二つの人生を生きる-未来の働き方を考えよう


40代で働き方を選びなおす

・職業人生は2回あるという発想。働く期間を20代から40代までの前期職業人生と、40代以降の後期職業人生に分ける。

この「一生の間に、2パターンの職業人生をおくる」という考え方は、寿命が延びる中で正解の見えない時代を生きる人にとって、様々なメリットがある。

・結果的に二つの職業を体験するというのでなく、一生の間に二つの異なる職業人生を選べるのだという意識を、最初から持つという方法。

・職業人生も最初からいきなり周囲と違う道を選ぶことが難しくても、二度目なら自信を持って、自分オリジナルな道を選びやすくなる。

・大事なのは、20年働き、様々な条件が整った40代という時点で、20代の就活後初めて、主体的に働き方を選び直すという視点を持つこと。

 

就活は40代の方が巧くいく

・40代には、誰でもその後のキャリアパスがある程度、見通せるようになる。

・40代というのは、誰でも否応なく、人生の有限感と向き合わなければならなくなる最初のタイミング。

だからこそ、ここで働き方をリセットし、人生の優先順位を改めて確かめることに、大きな意義がある。

・個人が一定の権限を持って仕事に取り組める中小企業で働くことの意義を理解できるのも、20代の若者ではなく、40代のベテラン社会人の方である。

・20年くらい働いた後の40代こそ、自分に合う仕事を探せるベストタイミング。

・本当の意味でのワークライフバランスとは

人生のどの期間に

家庭と個人の趣味のどれに、

どの程度ずつ時間を割り当てるのか

ということを、本人が決められることであり、自分自身でワークとライフのバランスを、一定の自由度をもって設計できることをいう。

・40代で二回目の働き方を始めたら、引退という概念も不要。少しゆっくりしてみて、合わないと思えばまた働き始めればいいし、時々働き、時々働かないというのもアリ。

・今の時代、必要なのは雇ってくれる組織や与えられる仕事ではなく、働く力であり、稼ぐ力。それさえ維持していれば、働く生活と働かない生活の境界線だってゆるく越えやすいものになる。

 

 

 まとめ

40代で仕事を職業を選びなおす。私が就職したころには全くそんな時代が来るだなんて思ってもみませんでした。

転職は30代半ばを超えると難しいだとか、40代である程度の職位まで登っていないと厳しいだとかいう考え方は、14年前の私が就職した時の「常識」でした。

価値観の多様化や、IT革命、グローバリゼーション、人生の長期化によって働き方の選択肢は14年前と比べモノにならないほどに多様化している。

15年以上前には、40代である程度の職位まで登りつめて、経済的にも社内環境的にも安定している状況を手放すなんてもってのほかのことでした。

 

しかし、人生100年時代と呼ばれる近い将来に、40代の安定環境に甘えて「逃げ切ろう」とすることがリスクだということ。

脂の乗りきった40代で環境に甘えることなく、自分で稼ぐスキルを身につけるべくある種の覚悟を決めることこそ今後の働き方の本流になるのではないかと感じさせられました。

 

何が本当のゆたかさなのかということを問い直せば、決して贅沢な暮らしではなく、ミニマムでも家庭・仕事・趣味などにおいてバランスのとれた充実した毎日を過ごせることだと私は思います。

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新しい働き方を模索する若者たち-未来の働き方を考えよう


■惜しげもなく大企業を辞める若者

・大企業を数年で辞める若者を、社会性のない落ちこぼれだと決めつけていた時代は終わり、彼らはもしかすると先駆者かもしれないと分析される対象になっている。

・大企業で働く合理性が毀損している。(価値観の変化・大企業で働くメリットの揺らぎ)

 

■間欠泉的キャリアを選ぶ

・医療・介護系の仕事、ITやウェブ関係のスキルと職務経験を持つ人たちは、数か月くらい仕事を離れても、失業リスクとは全く無縁である。

・公務員や大企業の社員は、何年か働いた後に数ヶ月間の休みを取り、その後また働き始める、といったことはできない。一旦辞めたら再雇用もほぼ不可能である。

・需要が圧倒的に大きな市場で手に職をつければ、新しい働き方が手に入る。それは一定期間働くごとに、リフレッシュや個人の趣味のため、そして家族のために、数ヶ月間の休みを挟むという、いわば「間欠泉的キャリア」である。

・需要が供給を上回る仕事を選ぶことのメリットは非常に大きく、それだけの努力をする価値は十分にある。

・大事なのは「資格の有無」ではなく「市場のニーズの有無」である。

 

■海外で働く若者たち

・大企業にとっての海外進出は、大規模な予算と覚悟が必要となる大げさな決断だが、若い人にとっての「アジアで売る」「アジアで働く」は自然なものになりつつある。

・アジアには、日本にいてはもはや味わうことのできないダイナミズムや成長感がある。

 

■ミニマムに暮らすという選択

・おおざっぱに言うと、一生に必要な費用は4つ

1)基礎生活費

2)住宅購入費

3)育児、教育費

4)老後費用

・今までは、一生懸命働き、よりたくさん稼ぎ、より豊かな生活を目指すことが一種の常識でした。しかしこれからは、必要生活費をできるだけ抑え、働く期間を最短化するという逆転の発想で人生を設計することも、一つの選択肢となる。

 

■「働くこと」の意味が変わる

・これからの仕事、そして「働くこと」とは、「人生におけるすべての欲求を満たしてくれる土台となるもの」ではなく、「人生にとって重要なもののひとつ」といういいづけに変わる。「仕事=人生の土台」などという世界観を、全員が共有できる時代はすでに終わってしまっている。

 

 

 

 ■まとめ

バブル崩壊後の就職氷河期に入社した我々30代半ば世代も、バブル入社の方たちとはかなり違う存在でした。

資格ブームや公務員ブームなどもあり、自分の身を守るために安定する仕事を選ぶということが特徴だったと思います。

 

バブル経験者が大企業に入社することで「たくさん稼ぎたい」という思考だったのに対し、我々の世代は大企業に入社したり公務員になり「安定した暮らしがしたい」という思考をする人が多かったように思います。

 

先日新聞に大卒後のニート人口が過去最高を記録したとありましたが、今の若者にとって就職というものがたくさん稼ぐ手段や将来の安定した暮らしのための手段であるという概念は全くないと思います。

 

我々が就職した時代よりもさらに悪化した経済状況を鑑みると、「仕事=人生の土台」という考え方にはなれないのも納得のいく話です。

必要生活費を最小に抑え、たとえ給料が安くとも自分が社会に必要とされる仕事をしたいという価値観に変わってきているのですね。

 

我々ももはや逃げ切れない世代であるので、仕事の価値観や人生に対する考え方を変える節目に来ているように感じますね。

 

 

 

 

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世界を変える3つの革命的変化-未来の働き方を考えよう


産業革命に匹敵する社会の変化?

・驚くべきスピードで進行するグローバリゼーションの潮流、人口増加率や経済成長率の国家間格差による、国と国のパワーバランスの大きな変化。

・産業革命期には王侯貴族を社会の支配層から引きずり降ろし、平民出身の企業家が力を握る幕開けを演出した。この「パワーの移行」があったからこそ、産業“革命”と呼ばれる。

 

大組織から個人へ by IT革命

・ITの進化は、これまで圧倒的な力を持っていた国や大企業の大きな組織から、今まではそれらに従属するしかなかった個人や、個人が集まっただけのネットワークへ、パワーシフトを起こしている。

・個人や小企業、NPOなどのコミュニティでも、国家や大組織に対抗できるほどのパワーが持てるようになった。だからIT“革命”という言葉が使われる。

・デジタルの世界では、個人や企業が国境を超えることが極めて容易で、両者とも国を超えた活動をごく自然に受け止め始めている。

・IT技術の進化は、国家や大組織の力を減じる一方、今の、そして未来の全ての個人に、自らの意思と選択によって、新しい可能性を追求できる機会を与えてくれている。

 

先進国から新興国へ by グローバリゼーション

・「グローバリゼーション=世界がつながること」は、より大きな意味で、私たちの働き方に根本的な影響を与える。

・グローバリゼーションによって世界がつながり始めると、他国にはない制度や考え方を、一国内で維持することが難しくなる。制度や考え方も世界で平準化されていくからである。

・世界規模での同一労働・同一賃金という原則は、「給与は仕事の対価である」という考え方に基づいており、今まで日本の組織が維持しようとしてきた年功序列型の賃金秩序と真っ向からぶつかる。

・グローバリゼーションの進展と人口構成の大きな変化により、これまで他国の犠牲の上に成り立っていた先進国の人たちの生活と働き方は、大きく変わらざるをえない。

 

ストックからフローへ by 人生の長期化

・IT革命とグローバリゼーションに続き、私たちの働き方に大きな影響を与える3つ目の要素が、人生の長期化、すなわち、寿命が大幅に伸びる可能性。

・寿命100歳となる時代には、働き方も大きく変わる。65歳の一律定年など不可能で、みんな80歳くらいまで働かないと、個人の生活も社会も立ち行かなくなる。そんな時代では、一生一つの仕事は非現実的。

・どこに住み、どんな仕事をしたいか、どの程度の時間働きたいか、どれくらいの収入が欲しいかなどが、半世紀も変わらないと仮定するのは無茶な話である。

・人生100年の時代になれば、ストック(資産)が多いことより、その時々に何らかの価値を生み続ける「フローの力」の方が重要になる。たとえば、貯金はあるけれど自分で稼ぐ力のない人よりも、貯金はないけれど、自分で稼ぐ能力のある人。

・人生100年時代には、組織を離れても稼げる力や、年齢を重ねても新しいものに挑戦できる好奇心や前向きな姿勢、見知らぬ人とも良好な関係を築ける人づきあい能力などが、人生の豊かさを決める。

 

 

 

まとめ

未来の働き方が変わる。それは「IT革命」「グローバリゼーション」「人生の長期化」の3つの劇的な“革命的”と社会的変化によって引き起こされる。

IT革命により、「組織」から「個人」という流れが強まり、グローバリゼーションにより日本国内で常識だったことが徐々に国際的視点で見れば非常識になる。

 

この二つの革命的出来事に関しては新聞等からの情報でも比較的よく耳にすることだったのですが、この本を読んで私がとくになるほどと感じたのは3つ目の人生100年時代のストック型人生からフロー型人生への変化ということです。

 

定年まで一つの会社で一生懸命働いて、住宅ローンを返済しつつも貯金をして老後は年金の補助を得ながら悠々自適の生活をするというのが今までの黄金パターン。

定年までのストックで必ずしも死ぬまで幸せに暮らしていけるという保証がなく、長生きするということが決して幸せだと言えない時代になってきている中で、一生一つの仕事という概念は逆に非常識的なことになってきているように感じました。

会社に守られているという意識を捨てて、仕事の対価として報酬を得ることを意識して稼ぐ力というものを身につけなければ、これからの世界では生き残れないと危機感を持ちますね。
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