○感情移入のコミュニケーションの原則
・心には理性でわからない理屈がある。
・「まず相手を理解するように努め、そのあとで、自分を理解してもらうようにしなさい。」この原則が、人間関係における効果的なコミュニケーションのカギである。
○人に影響を与えるカギは人に影響されることだ
・人間関係において効果的にコミュニケーションをとるには、信頼を築き、相手が本音で話せるような人格の土台の上に、感情移入の傾聴のスキルを積み上げていかなければならない。そして、心と心の交流を可能にする信頼残高を構築していかなければならない。
○相手を本当に理解するためには
・感情移入とは、相手の見地に立ち、相手の立場から物事を眺め、相手が見ている世界を見ることであり、相手のパラダイムを理解し、相手の気持ちを感じ取ることだ。
・感情移入の本質は、相手に賛成することではなく、感情的にも知的にもその人のことを正確に理解することである。
・感情移入の傾聴は、信頼残高の預け入れを行うカギを握っている。
○4つの自叙伝的な反応と感情移入
・私たちは過去の経験に基づいて「自叙伝的」に話を聞こうとする。つまり、多くの場合次の4つのいずれかの方法で返答する。
①評価する-賛成、もしくは反対する。
②探る-自分の視点から質問する。
③助言する-自分の経験に基づき、助言・アドバイスを与える。
④解釈する-自分の動機や行動をもとに相手の動機や行動を捉え、解釈・説明しようとする。
・本当に理解したいという気持ち、人格、相手との高い信頼残高、感情移入のスキルを身につけるまではほかの人の見地に立って、その人の見ている世界を見ることは絶対にできない。
・自分の自叙伝とパラダイムにとらわれず、自分のメガネをはずし、相手の見地に立って、相手の観点から世界を見なければ、本当の問題を理解するところまでには至らない。
○一対一、相手の目を通して人生を見つめる
・正確な情報を持ち、素早く問題の核心をつき、信頼残高を築き、必要としている精神的な空気を相手に与え、一緒に効果的に働くことができるのである。これこそがインサイド・アウトのアプローチである。
・本当に相手の話を聞くと、相手に影響される。しかし、人に影響される余裕を持つことこそ、他人に影響を及ぼすカギである。
・相手を深く理解すればするほど、相手を大切に思い、相手に対して敬虔な気持ちを抱くようになる。
・常に相手に対して感情移入はできる。洞察し、感受性豊かに傾聴し、自分の自叙伝を除いて相手に接することはできる。それこそ相手が必要としていることである。
・まず理解することを求めよ。問題が起こる前に、評価したり処方したりする前に、自分の考えを打ち出そうとする前に、まず理解しようとする。それが相互依存の強力な習慣なのである。
意識をしていないと人はどうしても自分の経験に基づいて「自叙伝」的にコミュニケーションをとる良くない習慣が自然にみについています。そして、自分の「自叙伝」に合わない人や出来事を排除していく傾向があると思います。自分のことが理解されずに悩んだり、相手にかみついたりしてしまうことが多々あります。
この章で教えてくれることは「理解してから理解される」ということ。つまり自分が理解されたいと望む前に、相手に対して本当の意味で感情移入して相手のことを理解する。そのために必要なのが傾聴のスキル。
自分のパラダイムを横に置いておいて、他人のパラダイムを理解する。そして他人からの影響を受ける余裕を持つこと。それこそが本当に自分のことを理解されることであるということを教えてくれます。自叙伝的な考え方の押し付けをすることは簡単にできる。お互いが利益を享受できる正しい結論を見つけるというのは本当に難しい。でもそれができたときに本当の相互依存という関係が築けるのだと思います。