スターバックスはコーヒーを売っているのではない-MISSION 元スターバックスCEOが教える働く理由


ブランド復活に向けて

・スターバックスのミッションを再確認し、原点に立ち戻る。

・スターバックスが特別である理由。スターバックスと「スターバックスのような店」が明確に区別されている理由は、ミッション教育がしっかりなされていることです。

・人々の心を豊かで活力あるものにするためにコーヒーを売っている。つまり、コーヒーが手段で、人々の心の豊かさ、活力が目的。

・スターバックスはたまたまコーヒーを扱っているだけであって、目指しているのはコーヒー・ビジネスではなく、「ピープル・ビジネス」なのだ。

 

Just Say Yes

・スターバックスのブランドコンセプトのひとつに、「サードプレイス」という言葉があるということはよく知られています。

「自宅と職場の間にあり、公共性と個人性を併せ持つ環境。他の誰かとつながり、自分自身を再発見する場。」

そしてそれを支えるのが

①    「コーヒーの美味しさ」

②    「快適な店舗環境」

③    「パートナーたちの素敵な笑顔」

スターバックスの差別化要因は3番目の「パートナーの素敵な笑顔」だと考える。

・スターバックスにはサービスに関するマニュアルがない。代わりに「Just Say Yes」という原則がある。「道徳、法律、倫理に反しない限り、お客様が喜んでくださることは何でもして差し上げる」ということ。

 

ほとんどがバイトでもお客様を感動させられる理由

・ミッションを徹底教育した後は、権限委譲(エンパワーメント)をして、その実現のための自主性と創造性を発揮してもらうこと。それこそがスターバックスの接客の核心なのです。

・スターバックスが、新しく入ったパートナーに行う教育時間は70時間。

・70時間もかけるからこそ、スターバックスのミッションが理解でき、自分の考えた良いサービスが提供でき、それが働くことのかけがいない充実感につながり、スターバックスを大好きになって定着してくれる。会社もパートナーたちが定着してくれるからこそ、もっと丁寧な教育や研修ができるようになる。そんなパートナーの姿を店頭で見て、志が高く、スターバックスの価値観を共有してくれている人が、自分もパートナーになりたいと思ってくれるからこそ良い人材が集まる。

これがスターバックスの好循環なのです。

・ミッション教育においては「何をやりなさい」ではなく「なぜそれをやるのか考えなさい」というスタンスを貫きます。

 

スターバックス・エクスペリエンス

・コーヒーの味だけでなく、接客や全体のおしゃれな雰囲気、スターバックスを包んでいる空気に価値を感じ、そこにパートナーが笑顔で声をかけてくれたり、コーヒーをこぼしてしまった時にいやな顔一つせず対応してくれたりといった経験をすると、いよいよその人の中では、スターバックスの出来事、そしてスターバックスに行くことそのものが価値になってくる。これこそがスターバックス・エクスペリエンスなのです。

・お客様が300円出して買い求めているのは、コーヒーだけでなく、スターバックス・エクスペリエンスなのです。

・ミッションがあるから、エクスペリエンスが生まれる。すぐれた商品にエクスペリエンスがセットされているから、ブランドになる。ものがあふれた成熟社会では、お客様はそこにこそ価値を見出します。

 

社員の自発性を引き出すためにリーダーがやるべきこと

・「○○をしてください」という指示に対して、指示された人は○○をしようと思うだけで、それを達成すれば、あとは何もしません。強く指示すればするほど、より完璧な○○には近づきますが、決してプラスアルファを求めようとしなくなる。なぜなら指示されていないからです。これではお客様の期待を上回ることはできない。

・本当に大切なのは「なぜそうするのか?」を、しっかり理解してもらうこと。あるいは常に自問自答することです。

・与えられたミッションは、自分の中で議論し、咀嚼して、初めて自分のものになります。本社や本部、リーダーは、考えるスタッフを育て、彼らが現場で判断したことを全力でサポートしなければならないのです。

 

第五次産業としてのスターバックス

・スターバックスはコーヒーを売っているサービス産業ではなく、感動の経験を売っているのではないか。

・近年は、IT産業を第四次産業と呼びます。ならば、スターバックスのような感動体験を売っている業態は、第五次産業なのではないか。

・ものではなく経験なので、決して値段を割り引いてもらうことに価値を見出さない。いいものに対しては、しかるべき対価を気持ちよく払うことを厭わないし、そもそも他に代わるものがないので、価格そのものが気にならなくなる。

・お客様の多くはスターバックスを、ディズニーを、そしてリッツ・カールトンを別格のものとして認識している。その理由は、素晴らしいミッションが存在し、ひとりひとりがそれを理解して、自分で考え、実行することのできる環境が醸し出す、空気だと思うのです。そう空気です。

・ミッションのあるところは空気感が明らかに違う。ミッションこそがブランドを形作っているのです。

 

まとめ

私もスターバックスを愛用しています。

もちろん美味しいコーヒーを頂くという目的も2割ほどありますが、8割は自分だけの時間を有意義にすごすための時間に使用しています。

読書をしたり、頭を整理したりするまさに第三の場所です。

 

スターバックスがストアコンセプトとして「サード・プレイス」ということを掲げていることはすごく理にかなっていると思います。

色々なカフェがありますが、スターバックスでないとだめだという意識を持たせてくれる背景には徹底したミッション教育によるクルーの自主的な精神からくる笑顔やサービス、そして快適な店内環境にあるのだと実感できます。

 

ミッション教育に70時間をかけるということに少し驚きましたが、それがスターバックスの独自性や強みを創出する好循環を生み出しているのだと納得できますよね。

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投稿者: Masahiro Ito

サーフィンとマラソンをこよなく愛する自称ソーシャルサラリーマン。 自分自身がメディアとして発信できる新しい時代の波に乗るために奔走中。 伊藤人語では、読書初心者の方にポイントを紹介。 僕が薦める本に興味を持ってもらえればこれ幸いでございます。

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