テーマ:なぜ「集団の空気」に支配されるのか?
○場の「空気」が白を黒に変える
●体験的学習の文化が誤認を助長する
・空気の醸成の悪影響
① 本来「それとこれは話が別」という指摘を拒否する
② 一点の正論のみで、問題全体に疑問を持たせず染め抜いてしまう
・目の前の出来事に対して、追いかける指標〈戦略〉を理解していないにもかかわらず、体験的学習から特別な発見を導き出して「一点突破全面展開」を行う傾向が日本人にはある。
●議論の「影響比率」を締め出させるな
・本来その問題が正しいか間違っているか判断すべき基準として、影響する比率が1%にも満たないことを取り上げて、問題自体を一方的に決め付けてしまう空気の醸成は、断固見破らなければならない。
●空気の正体を理解して打ち破る知恵
・「空気」とは体験的学習による連想イメージを使い、合理的な議論を行わせずに、問題の全体像を一つの正論から染め上げてしまう効果を持つ。議論の「影響比率」を明確にし、意図的な「空気の醸成」が導く誤認を打ち破る知恵を身につけるべき。
○都合の悪い情報を無視しても問題自体は消えない
●方向転換を妨げる4つの要素
① 多くの犠牲を払ったプロジェクトほど撤退が難しい
② 「未解決の心理的苦しさ」から安易に逃げている
③ 建設的な議論を封じる誤った人事制度
④ こうであってほしいという幻想を共有する恐ろしさ
●情報を封鎖しても問題は消えない
・情報や正しい警告を受け入れなくとも、問題自体は消えることはない。グループ・シンクやサンク・コストの心理的罠にどれだけ早く気づき、方向転換できるかが組織の命運を決める。
○リスクを隠すと悲劇は増大する
●リスクを隠すことで、損害は劇的に増えていく
①損害を劇的に増やす
②新たな損害を自ら生み出す
●実際に起こらなくても得はしていない
①リスクとされている事象に注意を払う人が増える
②リスクを理解していることで、不意打ちを避けられる。
●耳の痛い情報を持ってくる人物を絶対に遠ざけない
・コンチネンタル航空ゴードンCEOのリスク対応
①最大限迅速に「早く」対応する
②何より「真実」を正確に把握する
③リスクを隠すのでなく「周知徹底」することで予防につなげる
・リスクは「目を背けるもの」でも「隠す」ものでもなく、周知させることで具体的に管理されるべきもの。ビジネスでは、リスクを「かわす」のではなく、徹底して管理しなければ、存続していくこと自体が難しくなる。
サラリーマンにとっての出世への道は「空気を読むこと」と一般的には言われるけれども、その空気自体が間違ったもので、その空気を読むことによってのし上がってきた幹部が増えてくるとその会社は将来が暗いということを第二次世界大戦の日本軍の状況を例に身にしみるほど実感しました。
大きな組織になればなるほど「集団の空気」が醸成されていて、諫言や助言を受け付けない風土になり、戦略も体験的学習からの「一点突破全面展開」型に陥ってしまう。
またリスクへの対応の仕方も参考になります。日本企業はリスクを「回避」することにばかり目がいき、リスクをとってリスクを「管理」することをしてこなかったという部分はなるほどと思えた部分です。
組織としての成長を計るならば、リスクの開示、正確な情報の把握、迅速な行動が必要だと感じました。