「超」入門 失敗の本質 鈴木博毅 ④


テーマ:なぜ「型の伝承」を優先してしまうのか

●成功の法則を「虎の巻」にしてしまう

○日米軍の「強み」の違いが勝敗を分けた

・日本軍の強み

①    体験的学習によって偶然生まれるイノベーション

②    練磨の極限を目指す文化

・米軍の強み

①    戦闘中に発生した「指標」を読み取る高い能力

②    相手の指標を明確にし、それを差し替えるイノベーション

○成功の本質でなく、型と外見だけを伝承する日本人

・過去の経営者の成功体験を「単なる形式」としてだけ伝承し、当時なぜ成功を収めることができたかという「勝利の本質」がまったく組織内に伝承されていないことが失速の原因なのではないか。

・日本軍と米軍の強みの違いが、大東亜戦争の推移と勝敗を決定した。「型の伝承」のみを行う日本の組織が「勝利の本質」を伝承できていないことで、強みを劣化・矮小化させて次世代に伝えている。

●成功体験が勝利を妨げる

○過去の成功体験が通用しなくなるとき

・体験的学習だけに依存する場合、「成功体験のコピー・拡大生産」こそが戦略だと誤認するわかりやすい事例だといえる。

○体験の伝承でなく、「勝利の本質」を伝えていく

・「型の伝承」と「勝利の本質」は明確に区分されて、ともに伝えられなければならない。そうしなければ、今ある姿を維持することが組織全体の正義となり、おかしなことに勝利を追求するための議論と変化さえ、ほぼ全員で強固に否定するゆがんだ集団になりかねない。

・戦略を「以前の成功体験をコピー・拡大生産すること」であると誤認すれば、環境変化に対応できない精神状態に陥る。「型のみを伝承」することで、本来必要な勝利への変化を全否定する歪んだ集団になってしまう。常に「勝利の本質」を問い続けられる集団を目指すべき。

●イノベーションの芽は「組織」が奪う

○勝利の本質を議論できない集団

・日本軍の「予想外の大きな壁」とは軍部・軍人のレーダー兵器に対する「理解の無さ」と「徹底的な軽視」にある。

・海軍の強固な思い込みが、民間研究者たちの成功の扉を固く閉ざした。

○組織がチャンスを潰す

・技術的イノベーションを成果に育てられるかどうかは、組織内に浸透する意識構造に非常なまでに左右されてしまう。

・「本質ではない型の伝承」によって、組織はイノベーションを敵対視する集団に劣化してしまう。

・一人の個人が行うイノベーションでさえも、組織の意識構造によって生み出されるか、つぶされるかが左右される。「型の伝承」から離れ、「勝利の本質」を伝承する組織になることで初めて、所属する全ての人間が変化への勝利に邁進できる集団となる。

 

日本の大企業がこのところ振るわず、アップルなどのイノベーションについていけなくなったのは日本人固有の「型の伝承」という観念にとらわれすぎて、「成功の本質」というものを顧みなくなったことが原因だということが理解できました。

過去の成功体験による「型」が必ずしも時がたって有効であるとは限らない。組織は柔軟に成功の本質の芽となる意見や人材を採用しないと淘汰されていく。組織の意識が変わらなければ、成功はあり得ないということを痛切に感じました。

 

 

投稿者: Masahiro Ito

サーフィンとマラソンをこよなく愛する自称ソーシャルサラリーマン。 自分自身がメディアとして発信できる新しい時代の波に乗るために奔走中。 伊藤人語では、読書初心者の方にポイントを紹介。 僕が薦める本に興味を持ってもらえればこれ幸いでございます。

Loading Facebook Comments ...

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です