「超」入門 失敗の本質 鈴木博毅③


テーマ:なぜイノベーションが生まれないのか?

●新しい戦略の前で古い指標はひっくり返る

○戦略とは「追いかける指標」のことである

・戦略の優位性とは「追いかける指標」の有効度そのもの

○イノベーションを創造する3つのステップ

①    「既存の指標」の発見

②    敵の指標の「無効化」

③    「新指標」で戦う

○市場で苦境に陥った日本の主要家電メーカー

・イノベーションとは、支配的な指標を差し替えられる「新しい指標」で戦うことである。同じ指標を追いかけるだけではいつか敗北する。家電の「単純な高性能・高価格」はすでに世界市場の有効指標ではなくなった。

●技術進歩だけではイノベーションは生まれない

○スティーブ・ジョブズのイノベーション

①「既存の指標」の発見

・工業製品的デザイン

・処理能力や価格競争

・商品単体で完結する機能性

・通話や通信の高い品質

②敵の指標の「無効化」

・おしゃれなデザイン

・感覚的操作性

・ネットワーク型の利便性

・オープンソースによるアプリ開発

③「新指標」で戦う

・プラットフォーム化し、技術競争、価格競争から一線を引く

○ダブル・ループ学習とイノベーションの関係

・シングル・ループ学習とは「目標や問題の基本構造が変化しない」と考える。ダブル・ループ学習は「想定した目標や問題自体が間違っているのではないか」という疑問・検討を含めた学習法。

・ダブル・ループの学習者はシングル・ループの学習者を一方的に攻撃できる能力を持つ。

○『失敗の本質』が示唆したイノベーションのヒント

・イノベーションを作り出すには、現時点で支配的に浸透している「指標」をまず見抜く必要がある。体験的学習に陥りがちな、成功体験の単なるコピーではなく、対象者の中に隠れて存在する「戦略としての指標」を発見することになれるべきである。

・日本人は体験的学習から過去いくつものイノベーションを成し遂げたが、計画的に設計されたイノベーションを創造するためには、既存の指標を見抜き、それを無効化する新しい指標をダブル・ループ学習で見出す必要がある。

●効果を失った指標を追い続ければ必ず敗北する

○勝利に必要な指標を見抜く力があるか

・勝敗を左右するのはどちらの側がより正確に勝利への指標を理解しているかである。何を追いかけるべきか、勝利に必要な指標を見抜く。

○効果を失った指標から離れる難しさ

・日本の半導体がシェアを失った理由として日本メーカーがDRAM業界のイノベーションに対応できなかったことが指摘されているが、効果を失った指標から離れ、新たに有効な指標を追いかけることができなかったことが勝敗を分けたといえる。

○高い性能を目指すか、イノベーションを目指すか

・画像が美しくなること、スピードがより速くなることで、消費者側の購入指標が変化するのであれば、技術的改善がイノベーションに直結することになるが、処理速度が速くなっても、消費者が「これを購入したい」と思わない変化であれば、それはイノベーションではない。

・イノベーションは既存の戦略を破壊するために生み出されており、効果を失った指標を追い続けることは、他社のイノベーションの餌食となることを意味する。高性能とイノベーションは偶然重なることもあるが、本来は別の存在である。

 

 

戦略とは「追いかける指標の有効度」そのもの。そして3つのステップとして①既存指標の発見②敵の指標の無効化③新指標の発見というプロセスがあるということ。ゼロ戦の弱点を見つけ、完全に戦い方を変えた米軍や日本メーカーの技術力競争から一気にデジタル機器の土俵を変えたアップルなど日本は完全にアメリカにしてやられていると改めて思いました。

日本人固有の練磨の精神、体験的学習至上主義というものが、イノベーションを起こすことを阻害しているということにはすごく納得がいきました。大企業が陥りがちな過去の成功体験による慢心を取り除くためにも、ダブル・ループ学習というものがいかに重要なことかということがわかりますね。

 

 

投稿者: Masahiro Ito

サーフィンとマラソンをこよなく愛する自称ソーシャルサラリーマン。 自分自身がメディアとして発信できる新しい時代の波に乗るために奔走中。 伊藤人語では、読書初心者の方にポイントを紹介。 僕が薦める本に興味を持ってもらえればこれ幸いでございます。

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