「ほめて伸ばす」を否定せよ
・ほめることは”能力のある人が、能力のない人に下す評価”であり、その目的は”操作”である。
・子どもたちを競争原理の中に置き、他者と競うことに駆立てた時、ほどなく子どもたちは、「他者はすべて敵なのだ」「人々はわたしを陥れようと機会を窺う、油断ならない存在なのだ」というライフスタイルを身につけていく。
共同体の病
・組織は、賞罰も競争もない、ほんとうの民主主義が貫かれていなければならない。
・強さや順位を競い合う競争原理は、おのずと「縦の関係」に行きつきます。勝者と敗者が生まれ、そこで上下関係が生まれるわけですから。
・一方アドラー心理学の提唱する「横の関係」を貫くのは、協力原理です。
人生は「不完全」から始まる
・承認欲求にとらわれた人間は、他者から認めてもらうことを願うあまり、いつの間にか他者の要望に沿った人生を生きることになる。すなわち、他者の人生を生きることになる。
・われわれ人間は子ども時代、ひとりの例外もなく劣等感を抱えて生きている。これがアドラー心理学の大前提です。
・「自らの不完全さ」を経験する子どもたちは、原理的に劣等感を抱かざるをえないのです。
・人間はその弱さゆえに共同体をつくり、協力関係の中に生きています。
・すべての人には共同体感覚が内在し、それは人間のアイデンティティと深く結びついているのです。
「わたしであること」の勇気
・アドラー心理学では、人間の抱えるもっとも根源的な欲求は、「所属感」だと考えます。
・ほめられることでしか幸せを実感できない人は、人生の最後の瞬間まで「もっとほめられる」ことを求めます。その人は「依存」の地位に置かれたまま、永遠に満たされることのない生を送ることになるのです。
・「わたし」の価値を、自ら決定すること。これを「自立」と呼びます。
・「人と違うこと」に価値を置くのではなく、「わたしであること」に価値を置くのです。
まとめ
現実的な組織は競争原理に支えられていますよね。
僕らが働く会社だってそう。同期でも評価によって給与の差がつく。
学校だってそう。偏差値があって、すべての生徒たちが同じように評価されているわけではない。
アドラー心理学ではこういった競争による客観的な優劣で起こる「縦の関係」を否定し、人間はもともとみんな不完全だという前提に立ち返って協力関係を築く「横の関係」を重視する。
すべての人には「共同体感覚」≒「所属感」が内在する。
他者と比べて、「あの人みたいに褒められたい」という欲求だけで行動をする人はずっと満たされない思いをすることになる。
ではどうすればいいのか。
「わたし」という存在そのものの価値を認めること。
自分自身のことを好きになれなければ人を好きになることなんてできないし、自分自身のことを大切にできなければ人を大切にすることなんてできない。
そう思うのです。