悪いあの人、かわいそうなわたし−幸せになる勇気


教育の目標は「自立」である

・アドラーの語る「課題の分離」を一面的にとらえると、あらゆる教育は他者の課題への介入になり、否定されるべき行為になってしまいます。
しかしアドラーの時代、彼ほど教育に力を入れた心理学者はいませんでした。アドラーにとっての教育は、中心課題のひとつであるばかりか、最大の希望だったのです。

・アドラー心理学では、人はみな、無力な状態から脱し、より向上していきたいという欲求、つまり「優越性の追求」を抱えて生きる存在だと考えます。

・人はみな「自由」を求め、無力で不自由な状態からの「自立」を求めている。

・教育とは「介入」ではなく、自立に向けた「援助」なのです。

尊敬とは「ありのままにその人を見る」こと

・役割として「教える側」に立っている人間が、「教えられる側」に立つ人間を敬う。
尊敬なきところに良好な対人関係は生まれず、良好な関係なくして言葉を届けることはできません。

・尊敬とは、人間の姿をありのままに見て、その人が唯一無二の存在であることを知る能力のことである。
尊敬とは、その人が、その人らしく成長発展していけるよう、気づかうことである。(エーリッヒ・フロム)

・尊敬とは、いわば「勇気づけ」の原点でもあるのです。

「他者の関心事」に関心を寄せよ

・自己への執着から逃れ、他者に関心を寄せること。その指針に従って進んでいけば、おのずと「共同体感覚」に到達する。

・共同体感覚についてアドラーは、好んでこのような表現を使いました。
われわれに必要なのは、「他者の目で見て、他者の耳で聞き、他者の心で感じること」だと。

もしも「同じ種類の心と人生」を持っていたら

・われわれは誰しも、客観的な世界に住んでいるのではなく、自らが意味づけした主観的な世界に住んでいる。
われわれが問題としなければならないのは「世界がどうであるか」ではなく、「世界をどう見ているか」なのだ。

・共感とは、他者に寄り添うときの技術であり、態度です。

「変われない」ほんとうの理由

・人間は、過去の「原因」に突き動かされる存在ではなく、現在の「目的」に沿って生きている。

・われわれは過去の出来事によって決定される存在ではなく、その出来事に対して「どのような意味を与えるか」によって、自らの生を決定している。

・自分の人生を決定するのは、「いま、ここ」を生きるあなたなのだ。

・われわれの世界には、ほんとうの意味での「過去」など存在しません。十人十色の「いま」によって色を塗られた、それぞれの解釈があるだけです。

悪いあの人、かわいそうなわたし

・不遇な過去をトラウマとする人は過去に縛られているのではありません。その不幸に彩られた過去を、自らが必要としているのです。
あえて厳しい言い方をするなら、悲劇という安酒に酔い、不遇なる「いま」のつらさを忘れようとしているのです。

・あなたがどんなに「悪いあの人」について同意を求め、「かわいそうなわたし」を訴えようと、そしてそれを聞いてくれる人がいようと、一時のなぐさめにはなりえても、本質の解決につながらない。

・われわれが語り合うべきは、まさにこの一点、「これからどうするのか」なのです。

・ミステリアスな魔法よりも建設的で科学的な、人間への尊敬に基づく、人間知の心理学。それこそがアドラー心理学なのです。

 

まとめ

管理職の立場になり、そして親の立場になり公私ともに教育ということに携わる機会が増えてきました。

仕事で部下を教育するにも、親として子供を教育するにもいわゆる教育の先輩たちはおっしゃいます。
概して「しつけ」が大切だ。
厳しくしつけないと育たない。
と。

それに対して、アドラーが説く教育とは決して「あーしなさい、こーしなさい」「あれはだめでしょ!これはだめでしょ!」と口うるさく「しつける」のではない。

教育を受け入れる側の人の立場を尊重して、まずは自分でどこまでできるか自力でやってみさせること。そして、それに対してのアドバイスをしたり課題を一緒に考えてみたりして、その人の成長や自立を支援していくことなんですよね。

どちらが成長するかといえば、やっぱり後者のように思いますよね。
縦の関係で縛るのではなく、横の関係で部下や子供たちと接してともに成長していきたいものです。

 

 

投稿者: Masahiro Ito

サーフィンとマラソンをこよなく愛する自称ソーシャルサラリーマン。 自分自身がメディアとして発信できる新しい時代の波に乗るために奔走中。 伊藤人語では、読書初心者の方にポイントを紹介。 僕が薦める本に興味を持ってもらえればこれ幸いでございます。

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