「争う」のではなく、「切磋琢磨」する
・禅に「随縁(ずいえん)という言葉があります。現在ついている仕事も、結んでいる人間関係も、すべて「縁」によって、「縁」に随って成り立っています。
・ぜひ、私たちは縁の中で生かされている、ということを感じて下さい。
すると、まわりの景色が変わってきます。
なにより、「成長する」ことに力点を置く
・誰にでも、勝つこともあれば、負けることもあるのです。それは現実として受け止め、しかし、そこには力点を置かない。
仲間として一緒に成長していくというところに力点を置くのです。
・禅に「明明百草頭」という言葉があります。「百草頭」とは、さまざまな草花のこと。
「明明」とは、それぞれの草花みんなの生命がはっきりしているさま。
みんなが自分の役割をはたすために能力を磨くことに一生懸命になればいいのです。
「約束」に大きいも小さいもない
・「心施」は、人のために心を配る、ということですが、約束を守ることは、心施の「原点」だ、という気がします。
・禅では「分別するな(選り好みするな、軽重を考えるな)」と考えます。
分別してはいけない最たるもの、それが約束です。
・その人に対して常に誠意をもって向き合っていく。
はじめは一滴の水のようなかすかな信頼かもしれません。
しかし、そのことの積み重ねによって、嵩が増します。
人間関係を改善するには「まず、あなたから」
・他人の長所も、短所も、はっきりいってしまえば「独りよがり」の判断なのです。
・最初に考えるのは、長所をいかに引き出すか、最大限に生かすか、ということです。
・一方短所については、二つに分けて考えていきます。
ひとつはデザインのしかたやさまざまな工夫によってカバーできる、いわゆる「改善要素」、もうひとつは根本的に変えることのできない「阻害要素」です。
・相手のことは簡単に変えられません。
自分の「対応」を変える方がずっと簡単です。
良いとか悪いとかではなく、そのほうが合理的なのです。
誰かと「横並び」の人生なんて、ありえない
・人生というその時間を、それぞれが自分の歩幅で歩んでいく。
そこに「平均」などはありません。
・禅語に「本来無一物(ほんらいむいちもつ)」というものがあります。
人は本来、一切のものを持たない、まったくの空、絶対的な無の存在である、ということです。
・平均をはるかに超えたとしても、平均に遠くおよばなくても、それが自分の歩幅であり、そこでしか、たしかな人生の足跡を刻むことはできないのです。
自分も周囲も明るくする、たった三つの言葉
・人とのかかわりを円滑に進め、なおかつ豊かなものにする。
その秘訣は「三つの言葉」にあるのではないでしょうか。
「おはよう」「ありがとう」「ごめんなさい」がその三語です。
・感謝はするほうの心もされるほうの心も、同時にあたたかいものにします。
・「愛語」という言葉があります。
相手を慈しんだ、心のこもった言葉、ということですが、禅では常にそういう言葉を使いなさいと教えています。
・禅に「一花開世界起(いっかひらいてせかいおこる)」という言葉があります。
たった一つの花で明るい世界になる、という意味です。
「おはよう」「ありがとう」「ごめんなさい」のたった一言が、あなたと、あなたの周囲の毎日を明るく、幸せなものにしてくれます。
まとめ
みんながやっているから。
あの人がこうだから。
人は何も意識していなければ他人に左右されてしまう生き方をしてしまうものです。
競争による勝ち負けというのはまさしく、他者を軸において自分が巻き込まれていく受動的なもの。
それによって失うものは少なくはない。
では競争を「勝ち負け」と捉えず、「切磋琢磨」と捉えればどうだろうか。
そうすれば、自らの成長を軸に置いた考え方になるので主体的なものへと概念が変わってくる。
他人がどうあれ、自分自身の成長を基軸に考えて生きていく。
そのことが心を豊かにし、人間関係をも豊かにしてくれるのではないでしょうか。